戯曲を研修すること

日本演出者協会九州ブロックで、昨年までの三年、日本の戯曲研修セミナーという事業の実行委員会になっている。今年度は開催をお休みして、先日来年度以降に向けた勉強会に参加した。昨年は別役実の演出をするにあたり、おそらく十五本くらい別役戯曲を読んで、でもそのことについてあまり振り返らなかったなと思って、気づいたことちょっと頭の整理として書いておこうかなと思う。 自分にとって戯曲を読むってどういうことか、作 […]

#演劇なんていらない

去年公演が多数中止・延期・検討になり落ち込みの中で起こった文化系ハッシュタグ運動の様子にも疲れてしまい、皮肉&正反対の意味で #演劇なんていらない という発信をしかけた。議論するための場所にならないかなんて気持ちと、半分以上は自暴自棄になっていた。勿論ばかだなあ何やってんだと踏みとどまったんだけど、豊岡で本当にそれを言う政治家が現れて多数に支持されるという現実が来て、ああそうだよねと。本当にそうな […]

居場所から逃れることを描く

生きていくのが困難なコミュニティから逃れ別の場所で生きるという作品を、「藪に坐る人」という戯曲で書いたことがある。その前の作品「海をわたる獏」が、故郷から離れないことを選ぶ人の話(直接的にそうは書いていないけど)だったことで、逆に人が故郷から出ていくことを選択するとはどういうことだろうという考えも一つあったのだと思う。 映画「ウルフウォーカー」でも同じような移住、住処を変えるという展開がある。そし […]

劇づくりと関係づくり

言葉を発すること、記すこと、伝えることは全て暴力になる可能性がある。自分が相手を傷つけたという実感をもつことで自分が傷つくのをおそれてしまうと、アウトプットにおそれが生じたり、誰かの顔色を伺うようなものを書いたり、射程距離の短いものになってしまう。 何年もかけて「とにかく強くなりたい」と言っていたのは、書き続けるために、傷つく覚悟をしなきゃいけないなということだったのかもしれない。と、「あめふりヶ […]

灯台下暮らし生活

情報公開がこんなにうれしく、こんなに緊張するものだったか、と、今日はいちにちとても不思議な感覚で過ごした。なにせとても久しぶりの情報公開だったから、そしてこの企画も一度は中止の可能性を相談していたものだったから、胸を撫で下ろすどころのさわぎではない。胸を撫で下ろす、と騒ぎ、は食べ合わせがおかしいな…と、また余計なことを考える。とにかく、書いてzoomでひっそり読み稽古を続けていた作品が、本当に上演 […]

甲本ヒロトみたいな子

以前出会ったWS参加者の一人に、甲本ヒロトみたいな子どもがいた。発表会、劇の終わりに歌を歌う時、一人本当に大きい真っ直ぐな声で歌うものだから、大人もびっくりするほど元気をもらっていて、ボーカリストってこういう生き物なんだなと、きっと彼自身は自分の歌をそう思っていなかっただろうけど(9才くらいだし)彼には本当に才能、を感じた。 ただ、発表の本番では、お客さんを前にして大人しくなってしまい、あれ、あれ […]

いつでもやめられる

いつだってやめられるなあと思いながら、今年三本目の戯曲を書いている。いつだってやめられるのに、なんで書いているんだろう。去年はあんなに苦しんでも一作しか書けなかったのに。今年は、何か変化があっただろうか、と思うけど、当たり前に変化だらけであるし、団体の主宰を交代したこともあり(今まで主宰は安藤さん→柳田さんだった、今年私になりまして。)、いろいろ公表していないけど、いろいろと起こっている。公表する […]

あめふりヶ丘夜想曲

熊本の雨が心配だ。と思いながら、あめふりヶ丘夜想曲なんて戯曲のタイトルになりそうだなと思ったりする。 「丘の上に降った雨はいつも下に流れていく。それは私の大事な人の家かも知れない。丘の上に住む私は想うことしかできない。」 不謹慎だと想う。でも、もし、これを不謹慎だと脅迫されてしまったらもう創作なんてできない。なぜって災害を目の前に私はいつもなにもできない。想う、ことしかできない。たいてい夜。そんな […]

ツイートしないつぶやき

「よく死を描くよね」と言われて安易に死を書かないように頑張ろうみたいな意識をしていた時期もあったが、別にもともと安易に書いていたわけではなかったし死の可能性も暴力も、いつだってすぐそばにあるんだもの ね

わたしの魔女ものがたり

思えば思うほど「藪に坐る人」という作品に対する執着が止まらない。私の周りにいる役者さんは「またかよ」と言い出すぐらいの話題なのだが、四度目の公演に対して、もうずっとずーーっと、思い出すたびにこう言っている。書きたかったことを書いたつもりが実際は半分も書けておらず、上演時にも思っていたが今思い返すとより技術的に悔しかった作品の一つで、それでもやさしいお客さんには、役者さんとセットの力もあって届けられ […]