イケメンと思い出

最近ほどよく過去好きだったものを思い出すきっかけが巡って来る。良い作品が、発表から20年くらい経って続編を作ったり、アニメ化したり、舞台化したりするおかげもある。それだけ今、つよく人を惹きつけるオリジナルが少ない状態、とも言えるのだろうか。まさかブギーポップは笑わない、が再びアニメ化するなんて思いもしなかったし、少女革命ウテナがミュージカルになるなんて思いもしない。中学生のころに好きだったものたちとあらためて出会うとき、当時の心境を鮮明に思い出す。

10代はアニメばかりみて生きていたので、イケメンの定義がわからなくて会話についていけず苦労したことがある。初めに好きになった俳優さんは、思い出せる限りでは、アラン・リックマンだった。しかしそれもスネイプ先生、としての役割が好きだったわけで、そういった役割としての永久欠番になれる俳優にあこがれる。寅さんだってそうだ。男はつらいよ、はいいぞ。つまりやはり人のかっこよさ、は顔よりも台詞や考え、行動にやどっているものだと思う。

最近友人が宝塚にしょっちゅう行っているようで、Twitterに宝塚情報が流れてきた。高校生の時、母と姉がスカイステージ(宝塚の専用チャンネル)を契約していて、時々一緒に録画された作品を観ていた。エリザベートとファントムが好きで、時代や組の違ういろいろなパターンでいくつも観ていた。でも、母や友人のように、「この俳優さんが、このペアが好き」という感覚になったことはなく、どちらかというと物語や演出の方に目が行っていたなどと思い出す。(というか、誰が誰か、あまりわからないまま観ていた。ごめんなさい)

俳優の誰、とは言えないけれど、例えばエリザベートの、夜のボートのシーンや、ゴーストとなって語りかけるお父さんのシーン、精神病院、ルドルフの死など、好きなシーンはこと細かに覚えていたりする。エリザベートは後半のたたみかけるような、それでいて静かな不幸のシーンが味わい深くてとてもすきだ。

それで、イケメンの話に戻るのだが、おそらく私は人の顔に基本興味がなく、認識する脳がめちゃめちゃ弱くて時間がかかる。だから、顔だけで「あの人かっこいい」と言えてしまう認識能力、判断能力はすごくうらやましく、私にはほとんどできないので、苦手だ。そうかあれはかっこいいのか〜、そういえば顔が整っているかもしれない〜と、実感ができないまま終わる。普通にひとの顔を覚えるだけでも大変なのに。

でも「この人は好みだ」とすかさず思ったりすることもある。ただそれって基本的に女性が多く、とくに着ている服を見て思うのだろうな。だから多分、「これは良いデザインだ!」の方。

今年はコナンの映画がとても面白くて、私ももれなく安室透のことが好きになった。が、それでも初回観た時は「かっこいい」という認識はしなかった。どちらかというと「こいつはヤバイ」だったな…。まあそもそも安室さんは生身の人間ではない。