たぶん友情のために

この記事では時々やってしまう「少女革命ウテナ」についての考察しかないので注意。また、すっごいラストのネタバレしか話さないので注意。

永遠という言葉がすきだ。響きもいいし、字もいい。この字が永遠という意味を背負っていることがまるごと美しいと思う。そして私の好きなアニメ「少女革命ウテナ」は、永遠との決別の話だと思っている。

デュエリストたちは奇跡や永遠を望み、それを手に入れるために戦う。勝者は姫宮アンシーとエンゲージし、「世界の果て」からの手紙によると、アンシーはいずれ勝者を「永遠があるという城」へ連れていく存在だとされていた。主人公は決闘に巻き込まれた頃には、「女の子を取り合うなんて」と否定的だったが、だんだんと自分自身が「王子様に再会する(自分がお姫様という存在になる)」奇跡を願っていたことに気づき、そしてそれは姫宮にとっても自分にとっても破滅であることを知る。まあそういった話だ。

ウテナは姫宮の王子様になろうとして、なれなかった。しかし、姫宮は物語の最後に「学園という永遠」のなかで繰り返される決闘ルール、つまり姫宮自身と暁生との関係性を壊した。色々な考察があるが、これがふたりの少女による革命だと私も思っているし、これは奇跡ではなく、ふたりが培って来た友情や愛による革命だった。

姫宮アンシーは、暁生というかなしい兄であり元・王子様との共依存関係にあり、これは強く約束された永遠の愛、だった。この愛をつづけるために彼女は花嫁であり魔女にならざるを得なかった、という衝撃が高校生のときから自分の頭に大きな十字架のように突き刺さっている。

 

たぶん友情のために、というのは、12話・生徒会編ラストのタイトルだ。この話には「普通、になってしまうウテナ」「それに怒る親友の若葉」「冬芽の花嫁となった姫宮」の三人の関係性が描かれている。「たぶん友情のために」というタイトルはもちろんウテナと若葉に対する意味としてとりやすいと思うが、ウテナは「若葉との友情のため」だけに決闘したはずがなく、姫宮との友情の意味も含まれる。では「たぶん」はなんだろう。これが、「ついつい涙を流してしまった」姫宮の気持ちだったらと思うとつらくなってしまうし、このエピソードが姫宮にとって「永遠」との対峙の始まりなのかもしれない。

ともあれ自分の気持ちをだれも明確に言葉にできておらず、不器用な三人がみないとおしい。そしてこの複雑な関係性をギュッと一話で描けてしまう力が私は欲しいよ。