聖域としてのキッチン

風の気持ちいい夜だった。その日じゅうに出さなければならなかった書類を、郵便局のゆうゆう窓口で出せばいいとのんびりしていたらコロナの時間短縮営業でさっさと閉まったことに気づく。慌てて宅配便業者に連絡し、まだ空いていて受付が可能な店はどこかと問い合わせる。今年最大のしくじりをやってしまったかもと思うほどの凡ミスをおかし、震えながら、しかし事故るなよと独り言を呟きながら、行ったことのない営業所までバイクを走らせた。それで、その書類がどれほどの価値のものなのかは私にもわからないのだが、とにかく仕事を泡にせず済んだし、事故もなく、ぎりぎりだけどミッションコンプリート。やれやれだぜにもほどがあるぜ。ぴえんは、THE ENDなのではないかという説をここに唱える。いやぴえんとか使うな。日本語を愛せ。

このようなときも、バイクがあって本当に助かった。とっさにスピードアップができるのは自転車だけでは無理がある。小回りも効くので道に迷っても(迷った)戻ることができる。しかし、そろそろマップ見るためにスマホ取り付けるやつを用意したいね。ひさしぶりに乗るバイクはかわいい。身体をきちんとはこんでくれる。風の気持ち良い夜だった。しばらく手はふるえていたけど。

これからの自分の行く末がまったく予測できないが、少し不安に対して寛容になれている気もする。穏やかに生活する術を知っている気がする。疲れたら休んで、本を読み、好きな人と話す。いいね。バイクも久しぶりだったが、人と対面して話すのも最近ネット会議続きだったのでたすかった。人と、会うの、必要。とても。

キッチンを掃除し、整理し、環境をととのえた。今、我が家は、小さなキッチンだけが聖域としての美しさ厳粛さを保っている。というと大袈裟だが、キッチンは仕事場だよなと気づく。現状で満点のカスタムを行い満足しているが、欲を言えばもう少し広いキッチンが欲しい。コンロは2口あるとより嬉しいな。今は一口だからオーブンレンジ・トースター・炊飯器を使いやりくりしている。プリンセスメゾンの気持ち。IHに慣れたのでガスでなくてもいい。

綺麗になったキッチンでおつまみのような食事を作る。この日は茗荷とアボカドのオイル麺汁、茹で卵のカレーマリネ、味噌汁、塩漬けしたきゅうり。茹で卵は小さかったようで思う半熟にならなかったのがくやしい。それ以外はよかった。コンロは味噌汁だけでしか使わないのも助かる。明日は肉でも焼こうかな。